先ほど編集者に原稿を送った。相変わらずこの時間になるとスズメが鳴き始め、空が明るくなってくる。大体いつも原稿を送るのはこのような時間になってしまう。本当は朝に送れば良いのだが、これから少し寝て、その後は仕事が待っている。しかしこれも今回が最後になる。ようやく原稿を書き終えたからだ。
今回の執筆の話をもらったのは一体いつだっただろう。去年だったのは覚えているが、正確な日付けは覚えていない。もしも、執筆するのが私でなければ、もっと早くに原稿を書き終えたのではないか。編集者や出版社に迷惑をかけているのではないか。そんな事を何度も思い、諦めそうになったが、進み続けて、ようやく原稿を書き終えた。カシオペアのように少しは自慢したい所だが、そういうのは好きではないので控えておこう。
この執筆日記で何度も書いてきた事だが、今回は初めての執筆で右も左も分からなかった。暗いトンネルを手探りでなんとか進み続けてやっと地上に出てこれた。でも、不思議と達成感はまだ感じていない。もっと喜びを感じるものだと思っていたが、そうでもなかった。平坦な道を歩いてきた訳ではないのだが、一瞬地上に出ても、トンネルはまだ先に続いているのだ。しかも次のトンネルはまた過酷な所のようだ。悶絶しそうになるがそんな事をしてもどうにもならない。
その新たなトンネルというのは、初校の直しである。またしばらくはこの時間に編集者にメールを送るのは変わらない。スズメの鳴き声を聞くのも同様。
きっとこの作業というのは原稿以上に神経を使う作業になると思っている。
本という商品にするのだから間違えがあってはならない。原稿はある程度勢いがあれば書くことは出来るが、今度は慎重にならざるを得ない。ブログのように書き換える事は出来ないのだ。正直にいうとプレッシャーも感じている。しかし、このプレッシャーを超えた時にはまた成長した自分がいるのが分かる。もちろん超えられなくても、チャンレンジをしたら少なからず成長はすると思うが、クリアした時はさらに大きく成長を遂げていると思う。その自分の姿が今から楽しみでならないのだ。
もちろん、この後の事も始めての体験なので、実際にはどうなるか分からないが、より強い気持ちと魂を込める作業だと思っている。その強度をどれだけ保てるかにも感じる。
とりあえず今は原稿書き終え、一つのトンネルを超えた所で、美味しい空気を吸って一休みをしよう。そして、また歩き続けなければならない。